「映像」と「動画」(2)

前の投稿を書いている時「映像」という言葉の語源を調べていて面白いことを知りました。複数のサイトに「映像」という言葉はテレビの普及とともに生まれたと書いてあったのです。

たとえば「コトバンク」というサイトにはこんなふうに書いてあります。

 

「映像」ということばはテレビの普及以後、広く使われるようになった。それ以前は主として「影像」が使われており、これにはいわゆる映像メディアという考え方は含まれていない。

 

また他のサイト(ZOOREL「いまさら聞けない『映像』と『動画』の違い」)にはこう書いてありました。

 

テレビジョン放送がスタートした1953年以降、先行メディアである映画との差別化を図るために使用され定着していったのが「映像」という言葉です。

 

だとすると、映画やテレビと差別化するためにインターネットで見るものを「動画」と呼ぶようになったのと同じように、「映像」という言葉も新しいメディアとともに生まれた新しい言葉だったということになります。

でも現在では「映像」がテレビの映像のことのみを指すと思っている人はいませんよね。むしろ、映画のスクリーンで見る映像の方がテレビより、より「映像」という言葉にしっくり感じられる気がします。言葉の意味や受け取られ方のニュアンスは変わっていくものだということですね。

「動画」という言葉も、10年後には違う意味になっているかもしれません。スマホじゃなくてアイウェア端末が普通になったら、そこでまた新しい言葉が生まれるだろうし。「レディ・プレイヤー1」みたいに体感ウェアを着てメタバースに入るようになったら、それは「映像」とも「動画」とも呼べないだろうし。

そう考えると、この言葉の違いを掘り下げてもあんまり意味がないなという気持ちになってきました。身も蓋もありませんが。

 

ただし、前回も書いたように現在使われている「動画」という言葉はマーケティング的な言葉なので、広告においては「映像」と「動画」の間には意味のある違いがあります。

つまり「あなたが商売しようとしている相手は主にテレビを見る人ですか?スマホを見る人ですか?」という違いです。

そういう捉え方であれば、「動画」の方が重要になってきている時代なのは間違いないでしょう。資生堂は2023年にTVCMをやめるっていっていますし。

 

ですが一方で、YouTubeを大型モニターで見る人も増えてきています。ドンキホーテがチューナーレスTVを発売したというニュースが面白かったです。NHKの受信料払わなくていいそうですよ。こういうテレビを(テレビというよりモニターと呼ぶべきな気もしますが)買う人は増えるでしょう。

そういうチューナーレステレビで、人々はYouTubeだけではなくNetflixオリジナルのハリウッド大作や、F.O.Dのドラマも見ます。もちろん、韓国ドラマや「鬼滅」も。

おそらく広告も大画面で見れるクォリティの映像が必要になってきます。ということは結局、「動画」の時代になっても「映像」制作の技術は必要だということです。むしろ「動画」的な技術も取り入れつつ進化していくでしょう。

スピードとクォリティの両立というのがテーマになってきそうですね。

 

 

ところで、「動画」時代になって問題と言われていることの一つが「早送り視聴」です。

以前私の娘がTVドラマを早送りで視聴しているのを初めて見た時には、カルチャーショックを受けました。そんなのアリなのかと。娘は「だってこれどうだっていいんだもん。ちゃんと見たいのはちゃんと見るよ」と言っていました。

この話も長くなりそうなので、また改めて考えてみようと思います。

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